赤レンガ建物探検

-竹内尊司-

No.1◆耐火床とは?
この赤レンガの建物には、耐火床が使用されています。『耐火床ってなんでしょうか?』耐火床とは、簡単に言えば火災に強い床です。煉瓦の建物って、火災に強いと思われがちですが、実は弱いんです。煉瓦自体は強いの ですが、一般的に建物になると、壁は煉瓦で作れても、床や屋根は木で作るしかなかったのです。そのことから、床や屋根が燃え落ちるという危険性があったのです。そこでこの赤レンガ建物では、火災に強い床が提案されたのです。(写真を参照)また、ビールを醸造するには、温湿度が一定に保たれなくてはなりません。その点からも必要だったようです。しかし、耐火床を作るには、特別な技術と、莫大なお金が必要となるわけです。当時の半田は、それを可能にする経済力と、人脈を持っていたといえるでしょう。
この耐火床が使用されているのは、ビール工場以外では、赤坂離宮、日本銀行本店、半田市の近郊では八百津の変電所などがあります。この事から考えても、国内で誇れる建物だと思いませんか。
今度は皆さんとともに探検したいです。しかし、建物って言うものは、悪いところを直さないと次から次へと壊されていくんです。今、この赤レンガ建物は、そんなときを迎えているんです。みんなで赤レンガ建物おもしろ探検をするためにも、皆さんのご声援をお願いします。

▲写真:耐火床I鉄鋼の鉄梁を架け、その梁間を煉瓦アーチで埋める構法
No.2◆ハーフティンバーとは?
木造住宅の様式で、柱、梁、斜材など骨組構造材をそのまま外部に出し、その間の壁体を石材、土壁、あるいは煉瓦で充填したものイギリスで盛んに行われた方式、ドイツやフランスにもその例が見らます。
この赤レンガ建物では、木造の軸組み(柱、梁)の間に煉瓦を長手方向が見えるように積み上げた方式です。(下図参照)他の煉瓦建築には、鉄の軸組み(柱、梁)の間に煉瓦を積み上げたハーフティンバーもあります。
国内では、官営富岡製糸工場がこの赤レンガと同じハーフティンバー(木骨煉瓦造)の方式を採用しています。